ローコスト住宅と注文住宅の違いは?メリット・デメリットと注意点を解説

注文住宅でマイホームを建てたいが、予算が合わないという方もいるのではないでしょうか。予算をできるだけ抑えて家を建てる場合、選択肢としてローコスト住宅があげられます。注文住宅とローコスト住宅ではどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、ローコスト住宅と注文住宅の違いについて、ローコスト住宅が安く購入できる理由や注文住宅で少しでも予算を抑えて建てる方法などについて解説します。

ローコスト住宅とは?

ローコスト住宅とは、一般的な住宅よりも建築コストを抑えた注文住宅のことです。

建築費用が1000万円程度で建てられる注文住宅のことをローコスト住宅と呼ばれていますが、厳密な定義はありません。

ローコスト住宅のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

ローコスト住宅のメリット

ローコスト住宅には、以下のようなメリットがあります。

  • 普通の注文住宅よりも安く建築できる
  • 住み始めてからライフスタイルの変化で間取りを変えやすい
  • 短い工期で建築できる

ローコスト住宅のメリットは、何より普通の注文住宅よりも安く建築できる点です。

ローコスト住宅では建築費を安く抑えるために、間取りがシンプルで壁や間仕切りが少ない場合が多いです。そのため、子供の成長に合わせて住み始めてから間取りを自由に変更しやすいというメリットもあります。

また、規格プランの中から選んで建築するため、注文住宅よりも短い工期で建築できるため、建て替えによる住み替え期間の費用の節約も可能です。

ローコスト住宅のデメリット

ローコスト住宅のデメリットには以下のようなものがあります。

  • 限られた規格プランから選ばなければならない
  • 耐震性・耐久性・遮音性が建築基準法での最低限レベルしかない
  • 規格外のものを選ぶと費用が高くなりやすい
  • 住宅設備の性能は低い可能性がある
  • 維持費やメンテナンスコストがかかる

ローコスト住宅では、費用を抑えるために決まった規格プランから間取りを選ばなければならないため設計の自由度はあまり高くありません。もし規格以外のものをオプションで選ぶと一気に費用が高くなる可能性があります。

耐久性や耐震性、遮音性なども建築基準法の最低限レベルしかなく、住宅設備の性能も低い場合もあります。住み始めてからの維持費やメンテナンスコストが高くなる可能性があるでしょう。

安い建築費用でマイホームを建てられるローコスト住宅ですが、デメリットもいくつかあります。ローコスト住宅で建てるかどうか悩まれている方は、デメリットもしっかりと把握した上で決めるようにしましょう。

注文住宅とは?

注文住宅とは、土地・間取り・設備などを自分の希望や生活スタイルに合わせて作れる住宅のことをいいます。注文住宅は、フルオーダー住宅とセミオーダー住宅の2種類に分けられます。

フルオーダー住宅は家の見た目や間取り、構造、設備などの全ての仕様を自由に選べる住宅です。

対してセミオーダー住宅は、家の仕様やスペックを複数パターン用意され、その中から気に入ったものを選んでいく住宅です。

注文住宅のメリット・デメリットを見てみましょう。

注文住宅のメリット

注文住宅のメリットには以下のような点があります。

  • 自由度が高い
  • 建築現場を確認できる
  • ライフスタイルに合わせた間取りを考えられる
  • こだわりたい部分にお金をかけられる

注文住宅は、規格住宅やローコスト住宅よりも自由度が高いです。

間取りや住宅で使用する設備や建材、壁紙の柄などに至るまで、予算の範囲内であれば自分で好きに選べます。

また、家の仕様が全て決まってから工事が始まるので、着工から完工までの状況を現場に立ち寄って確認ができます。細かい部分であれば現場を見ながら変更に対応できる場合もあるでしょう。

こだわりたい部分にはお金をかけて、優先順位の低い箇所は最低限度の性能にするなど、予算に応じて柔軟に対応できるのも注文住宅のメリットの1つです。

注文住宅のデメリット

続いて、注文住宅のデメリットです。

  • 建築費用が高くなりやすい
  • 完成までに時間がかかる
  • 完成まで仕上がりを確認できない
  • 資金計画が複雑になりやすい

注文住宅は自由度が高いですが、こだわればこだわるほど建築費用が高くなりやすいです。

また、ローコスト住宅のように規格プランではなく、設備も建材も自分たちで決めていかなければならずその分打ち合わせ回数も増えます。着工してから完成までの時間もかかりやすいです。

注文住宅は他にはない世界でたった一つの自分たちのための家を作れますが、それは完成まで仕上がりを確認できないというデメリットもあります。

全てを自由に決められるため、資金計画も複雑になりやすいという点もデメリットと言えるでしょう。

ローコスト住宅と普通の注文住宅の違いは何?

ここから、ローコスト住宅と普通の注文住宅の違いを見ていきましょう。

7つの項目からそれぞれの特徴を比較していきます。

建築費用

まず、建築費用の違いです。

ローコスト住宅の建築費用は大体1000万円程度と言われていますが、普通の注文住宅の場合、建築費用は3000万円以上かかると言われています。

坪単価で比較すると、ローコスト住宅は30〜40万円程度に対して、普通の注文住宅では50〜70万円程度です。

建築費用や坪単価からわかるように、ローコスト住宅は注文住宅よりも遥かに安い予算で家を建てられることがわかります。

工期

ローコスト住宅は、規格プラン内で家を設計します。またシンプルな間取りが多く壁や間仕切りが少ない家が多いため、現場でも作業がしやすく工期も短い場合が多いです。

大体ローコスト住宅では2〜3ヶ月程度で完成すると言われています。

建て替えなどによる仮住まいが必要な場合でも、ローコスト住宅であれば仮住まいで必要な費用を節約することも可能です。

対して注文住宅では、3ヶ月〜1年とローコスト住宅の2倍以上の工期が必要な場合があります。これは間取りが複雑であったり、壁や間仕切りが多いなどお施主様のこだわりが詰まっているため、作業ごとに確認しながら進めなければならないためです。

子供の小学校の入学に合わせて急いで家を建てたいなどの要望がある場合、ローコスト住宅であれば希望を叶えられるでしょう。どうしても注文住宅を建てたい場合は、工期スケジュールも考慮した上で余裕をもって家づくり計画を進めていく必要があります。

間取り

ローコスト住宅では、費用を抑えるためにシンプルな真四角の総2階の家を建てることが多いです。また、できるだけ使う資材や建材を減らすために壁や扉などが少ないシンプルな間取りになることも多いです。

普通の注文住宅は、間取りも自由に決めることができるので真四角の総2階だけでなく要望に合わせて凸凹のある間取りで家づくりを進めることもできます。自分たちのライフスタイルに合った間取りを考えることができますが、規格プランのあるローコスト住宅よりも間取りの打ち合わせ回数が増えてる可能性が高いです。

構造

ローコスト住宅では、費用を抑えるために木造住宅を建てることが多いです。

普通の注文住宅では、お施主様の希望に合わせて木造住宅や鉄骨造、鉄筋コンクリート造など自由に選べます。注文住宅で家を建てる場合、木造住宅や鉄骨造、鉄筋コンクリート造のどの構造で家を建てたいかは事前に決めてからメーカーを選ぶようにしましょう。

メーカーによってはどの構造が得意なのかも別れてくるので、事前に希望の構造を決めておくことはハウスメーカー選びでも重要です。

耐用年数

ローコスト住宅で採用される木造住宅の耐用年数は約30年です。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合、耐用年数は70年あると言われています。

このことから、構造も自由に選べる注文住宅の方が耐用年数の長い家に住める可能性が高いと言えるでしょう。

耐震性

ローコスト住宅は、建築基準法上の最低限度の耐震性しかない場合が多いです。

耐震性は、地震に対する家の強さを示す耐震等級で判断することができます。

耐震等級は以下の3段階で決められています。

  • 耐震等級1:震度6強〜7程度の地震に耐えられる強さ
  • 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の強さ
  • 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の強さ

ローコスト住宅の場合、耐震等級1程度の家であることが多いです。

注文住宅では、耐震性も自由に選べるので、耐震等級3の家にしたいのであれば住宅会社に構造計算をしてもらい耐震等級3相当の家を建てることができます。

ただ、耐震等級2・3にしたい場合、現場で使用する家の耐震性を高める耐力壁など使用する資材が増えるため費用も高くなってしまいます。

ちなみに、耐震等級3の家であるという証明書が必要であれば、長期優良住宅などで耐震等級3の家であることを証明することも可能です。長期優良住宅とは、法律で定められた基準をクリアして長期間安全に暮らすことができる住宅として認定された住宅のことです。

耐火性

ローコスト住宅では木造住宅が多いです。

耐火性で考えると、注文住宅で建てられる鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも耐火性が劣ると言われています。ただ、木造住宅は火事が発生した時のために延焼を広めないためにファイヤーストップ構造を採用するなどの工夫もされています。

ファイヤーストップ構造とは、火の通り道になる床や壁、天井などの枠組材にファイヤーストップ材を使って燃え広がりを防止する構造のことです。

ですので、木造住宅だからといって耐火性が全くないというわけではありません。

なぜローコスト住宅は安いの?

ローコスト住宅が安い理由について、解説していきます。

安い建築費用で家を建てられる理由には以下のような点があります。

  • 間取りが規格化されている
  • 可能な限り仕入れ費を削っている
  • 広告費も節約されている
  • 人件費をできるだけ抑えている

それぞれ説明を見ていきましょう。

間取りが規格化されている

住宅は、部屋数や階数が増えるとその分壁の面積や扉が増えるため資材や建材もその分多くなり、その分コストも高くなっていきます

ローコスト住宅では使用する資材を減らすために四角の間取りや総2階が規格プランとなっており、その中から選ばなければなりません

間取りが規格化されているため、注文住宅よりも建築費用は安く抑えられます。

価格設定がわかりやすいので、オプションをつけた時の追加費用も把握しやすいです。

ただ、間取りの自由度は注文住宅よりも遥かに低くなります

可能な限り仕入れ費を削っている

ローコスト住宅は、建築費用をできるだけ抑えるために資材を大量に仕入れるなどして仕入れ費を可能な限り削る努力をしています

また、キッチンなどの住宅設備も最新のものを使わずに最低限度の設備で規格プランを作っています。

そのため、費用は抑えられますが普通の注文住宅よりも資材や設備のグレードが落ちてしまうため、細かい部分までこだわりたい方にはローコスト住宅は向いていないかもしれません。

広告費も節約されている

住宅の建築費用には、宣伝広告費など住宅には直接関係ない経費が含まれています。

ローコスト住宅では広告費を抑えるために、全国ネットへのテレビCMや住宅展示場への出展などはしていません。

ローカルネットのテレビCMや地域限定のチラシ配布など、必要最低限のコストで効率よく広告活動を行っています

人件費をできるだけ抑えている

広告費と同様に、人件費もできるだけ抑える努力を行っています

人件費を抑えると聞くと、手抜き工事などが心配になりますが、もちろんそういった不正は行なっていません。

ローコスト住宅はもともとシンプルな間取りで建てられることが多く、設備や資材もあらかじめ決まっているため営業担当者との打ち合わせ回数が少なく、工期も短くて済みます。

そのため、その分人員が少なくても済むので、人件費が抑えられるのです。

ローコスト住宅を建てる場合の注意点は何?

ローコスト住宅を建てると決めた場合、いくつか注意をしなければならないポイントがあります。

注意点は以下の5点です。

  • ライフスタイルに合った暮らしができるかどうかを考える
  • 保証内容を確認する
  • 生活に必要だと思うところにはお金をかける
  • プランや設備内容はしっかりと事前確認する
  • 見積もりに含まれている内容を確認する

それぞれ見ていきましょう。

ライフスタイルに合った暮らしができるかどうかを考える

ローコスト住宅は安い建築費用で家を建てられます。

しかし、規格プランの中から選んで決めた間取りや設備が自分のライフスタイルに合っているかどうかは、しっかりと家族で話し合って考えるようにしましょう。

家は購入してから何十年も住み続けるものです。

安いからという理由でローコスト住宅を購入したが、自分たちのライフスタイルに合っていない場合、常に住みづらさを感じながら生活しなければならないでしょう。

ローコスト住宅の規格プランでも自分たちのライフスタイルに合った暮らしができるかどうかを確認することは、ローコスト住宅を購入する上での注意点のひとつです。

保証内容を確認する

ローコスト住宅を建てる場合、アフターフォローや保証内容の確認をしておきましょう。

ローコスト住宅は建てた後に様々な問題が生じる場合があります。その場合、アフターフォローや保証があれば、無償で対応してくれるでしょう。

しかしローコスト住宅の場合、アフターフォローや保証内容が十分に備わっていないという場合もあります。保証内容は依頼する住宅会社によっても異なるため、契約する前に保証内容の確認は必ず行っておくようにしましょう

生活に必要だと思うところにはお金をかける

ローコスト住宅は、構造も設備も最低限度のグレードである場合が多いです。そのため、費用は抑えられますが品質に不満を感じる場合もあるでしょう。その場合は、自分が納得できるグレードのものに変えるようにしましょう。

グレードを上げるということはオプション費用がかかってきます。

しかし、これから何十年と暮らしていく家なので、少しでも快適に過ごすための必要な費用としてお金をかけることは大切です。

何を優先するかなどは家族と話し合い、生活に必要な場所にはお金をかけるようにしましょう

見積もりに含まれている内容を確認する

ローコスト住宅だけでなく注文住宅にも言えることですが、住宅会社から見積もりを提示されたら見積もりに含まれている内容を確認するようにしましょう。

家づくりには、印紙税や登記免許税などの税金やローンの手数料などの諸経費や、土地を購入する場合に発生する地盤調査費用などもかかってきます。

それらも含めた総費用での見積もりを出してもらうことで、自分たちの家にどのくらいの費用がかかるのかを把握することができます。

また、できるだけ費用を抑えたいのであれば、1社だけでなく複数社から見積もりを提示してもらって比較するのもおすすめです。

注文住宅を建てる際に費用を抑えるには?

多少費用が高くなってもローコスト住宅ではなく注文住宅を建てたいという方もいるでしょう。

注文住宅で費用を抑えるポイントを紹介します。

以下の3つのポイントを見ていきます。

  • 間取りはできるだけシンプルな四角形の家にする
  • 標準仕様から選ぶ
  • 水回りを一箇所にまとめる

それぞれ見ていきましょう。

間取りはできるだけシンプルな四角形の家にする

注文住宅で費用を抑えるためには、間取りをできるだけシンプルな四角形の総2階にすることです。

間取りが複雑で凸凹した家は、その分足場の費用、壁の骨組み、壁材などに費用がかかってきます。四角形のシンプルな形状であれば、その分の費用や基礎工事費用も抑えられます。住宅会社とよく話し合い、できるだけ費用を抑えた間取りを決めていくようにしましょう

標準仕様から選ぶ

注文住宅を建てる際、できるだけ規格プランや標準仕様を選ぶようにしましょう。

キッチンやユニットバスなど、オプションをつけると予想外に費用が高くなってしまうことがよくあります。

キッチンやユニットバスは標準仕様のものでも十分な仕様が備わっていることが多いので、実際に住んでみて不便を感じないことが多いです。

注文住宅を購入する際は、標準仕様のものを選び、住み始めてから買い替えを検討するのも良いでしょう。

水回りを一箇所にまとめる

給排水設備工事が必要な水回りは一箇所にまとめることでコストダウンが可能です。

2階にトイレを作ることもありますが、その場合給排水設備工事が何十万も高額になる場合があります。

トイレや浴室、キッチンなどをできるだけ一箇所にまとめた間取りにすることで家事がしやすい動線にもなるのでおすすめです。

まとめ

ローコスト住宅と注文住宅の違いを見ていきました。

ローコスト住宅を建てる場合も注文住宅を建てる場合でも、注意点や後悔しないためのポイントがあります。

どちらの住宅を建てるにしても、住み始めてから後悔しないように家づくりを進めていくようにしましょう。

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