高齢化社会が進む中、将来にわたって安心して暮らせる住まいづくりは、ますます重要になっています。
特に、お風呂場は転倒やヒートショックのリスクが高いため、バリアフリー設計は不可欠です。
今回は、注文住宅におけるバリアフリーの浴室の設計・選定について、具体的な設備や機能、選び方のポイント、そして将来を見据えた設計の重要性などを解説します。
バリアフリーのお風呂を実現する設備と機能
段差解消のための工夫
浴室への入り口の段差は、転倒事故の原因となるため、極力解消することが重要です。
段差解消には、スロープの設置が有効です。
スロープの勾配は、車椅子利用者も安全に利用できるよう、5%以下が目安です。
また、浴室入り口の段差がどうしても残る場合は、180ミリメートル以下に抑え、手すりを設置することで安全性を高めることができます。
安全な移動をサポートする手すり
手すりは、浴室での移動を安全にサポートする重要な設備です。
浴室の出入口、浴槽のまたぎ位置など、必要に応じて複数箇所に設置しましょう。
手すりの高さや材質、形状なども考慮し、使いやすいものを選びましょう。
特に浴槽のまたぎ位置の手すりは、転倒防止に効果的です。
L型の手すりは、縦にも横にも握れるため、より安定して立ち座りができます。
滑りにくい床材と浴槽
浴室の床材は、滑りにくい素材を選ぶことが重要です。
滑り止め加工が施された樹脂系パネルや、タイルなど、様々な素材があります。
浴槽についても、滑りにくい素材や、表面に凹凸のあるものを選ぶことで、転倒リスクを軽減できます。
使いやすいシャワーヘッドと蛇口
シャワーヘッドは、高齢者や身体の不自由な方でも使いやすいものを選びましょう。
角度調整機能や、ホースの長さなどが重要なポイントとなります。
蛇口も、レバー式やセンサー式など、使いやすいものを選択しましょう。
特に、握力が弱くなった高齢者にとっては、センサー式水栓が便利です。
高齢者や障害者向けのバリアフリー設備
高齢者や障害者向けには、様々なバリアフリー設備があります。
例えば、手すりの種類や位置、浴槽の形状、シャワーヘッドの種類、そして床材の種類など、様々な選択肢があります。
これらの設備を選ぶ際には、利用者の身体状況や生活スタイルを考慮することが大切です。
ヒートショック対策
ヒートショックは、浴室と居室の温度差によって起こる急激な血圧変化による健康被害です。
これを防ぐためには、浴室の保温性を高めることが重要です。
断熱材の入ったユニットバスや、浴室暖房機の設置などが有効です。
また、浴室だけでなく、脱衣所や廊下なども暖かく保つことで、温度差を少なくすることができます。
蓄熱式床暖房なども有効な手段です。

バリアフリーのお風呂を実現するための選び方とポイント
浴室の広さとレイアウト
浴室の広さは、安全で快適なバリアフリーを実現するために重要な要素です。
車椅子での利用を考慮する場合は、十分な広さを確保する必要があります。
レイアウトも、スムーズな移動ができるように工夫することが大切です。
脱衣所との段差の解消も重要なポイントです。
予算を抑えるための工夫
バリアフリー浴室は、一般的に費用が高額になりがちです。
しかし、標準的な設備を選ぶなど、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
また、住宅ローンを利用する際には、バリアフリー住宅向けの優遇金利制度を利用することも検討しましょう。
将来を見据えた設計
バリアフリー設計は、現在の生活だけでなく、将来的な生活の変化にも対応できるよう、柔軟性を考慮することが大切です。
例えば、将来、車椅子が必要になる可能性を考慮して、廊下や浴室の幅を広く設計したり、手すりの設置場所を検討したりすることが重要です。
快適性と安全性両立のための素材選び
素材選びは、快適性と安全性の両立が重要です。
滑りにくい床材や、保温性の高い素材を選ぶことはもちろんですが、見た目や手触りなども考慮し、利用者が心地よく過ごせる素材を選びましょう。

まとめ
バリアフリーの浴室は、高齢者や身体の不自由な方だけでなく、誰もが安全で快適に過ごせる空間を作る上で非常に重要です。
段差解消、手すりの設置、滑りにくい床材、使いやすい設備など、様々な工夫によって実現できます。
費用を抑える工夫も可能ですので、安心して快適なバリアフリーの浴室を実現しましょう。
当社ではバリアフリーな注文住宅の設計も行っております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。