床下の湿気は目に見えない「住まいの敵」です。
放っておくと木材の腐食やカビの発生、害虫被害などを引き起こし、住宅全体に深刻なダメージを与える恐れがあります。
その対策として注目されているのが「防湿シート」。
本記事では、防湿シートの種類・選び方・正しい施工方法までを詳しく解説し、家を長持ちさせる床下湿気対策のポイントを紹介します。
□防湿シートとは?:床下湿気対策の最適解

防湿シートは、床下からの湿気の侵入を防ぐために設計された製品です。
適切に使用することで、家の構造を長期間にわたって健全に保つことができます。
ここでは、防湿シートの基本情報と選び方、そして効果的な使用方法について詳しく見ていきましょう。
1:防湿シートの種類と特徴
防湿シートには、材質や厚みによって様々な種類があります。
一般的によく使われるのは、ポリエチレン製の防湿シートです。
強度と耐久性に優れ、湿気の侵入を確実にブロックします。
厚みは0.15mm以上のものを選ぶのがおすすめです。
主な製品一覧


写真出典: 三菱ケミカルインフラテック株式会社(Mitsubishi Chemical Infratec)公式サイト「Airtight Sheet for Housing(Construction 03)」
https://mchem-infratec.com/products/construction_03/

写真出典: 株式会社ウインテックス「防湿シート|住宅をカビや湿気から守る」
https://www.win-tex.co.jp/column/bousitu-laminate.html

写真出典: ユカザイヤ公式サイト「防湿シート S スーパーグレード品」
https://www.yukazaiya.com/SHOP/fuku-bousitu950.html
2:防湿シートの選び方のポイント
防湿シートを選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。
- 施工面積に合った幅と長さがあるか
- 十分な厚みと強度があるか
- 施工場所に適した材質か
- カット販売に対応しているか
自分の住宅の状況に合わせて、最適な防湿シートを選ぶことが大切です。

3:防湿シートの効果的な使用方法
防湿シートは、できるだけ湿気の元となる地面に近い位置に設置するのが効果的です。
シート同士は15cm以上重ねて敷き、隙間ができないように注意しましょう。
また、シートが動かないように砂利や砂を上に敷くのも良い方法です。
4:防湿シートを使用する際の注意点
防湿シートを使用する際は、以下の点に注意が必要です。
シートを無理に引っ張ったり、折り曲げたりしない
過度なテンションをかけると微細な亀裂が入り、そこから湿気が侵入する恐れがあります。
ゆとりを持って、平らに敷き詰めることを意識しましょう。

シートを固定する際は、専用のテープを使用する
一般的なガムテープや養生テープでは密着力が不足し、時間の経過とともに剥がれてしまうことがあります。
防湿シート専用の高耐久テープを使うことで、接合部からの湿気漏れを防ぐことができます。

シートに穴や破れができないように丁寧に扱う
敷設中に工具や靴底でシートを傷つけてしまうと、せっかくの防湿効果が大きく損なわれます。
施工時は清潔な靴で作業し、破れが生じた場合はその場で補修テープを貼るなど、慎重な取り扱いを心がけましょう。

これらの点に気をつけることで、防湿シートの性能を最大限に発揮させることができます。
□床下の湿気対策:防湿シートの効果と正しい使い方
床下の湿気は、見えない場所で少しずつ蓄積し、気づいた時には構造材が腐食しているケースも少なくありません。
放っておくと家の構造を蝕む厄介な問題です。
ここでは、床下の湿気対策の重要性と、防湿シートを用いた具体的な対策方法について詳しく解説します。
1:湿気が発生する主な原因
床下に湿気がたまりやすい理由は、以下のような環境要因が重なっていることが多いです。
- 地盤からの水分蒸発
:特に地面が粘土質や湿地に近い地域では、常に湿気が上昇しています。 - 通気不足
:床下換気口が塞がれていたり、風通しが悪い構造の場合、湿気が滞留しやすくなります。 - 外気との温度差
:梅雨時や夏場は、温かい外気が床下で冷やされて結露を起こすこともあります。 - 雨水・給排水の漏れ
:外壁や給水管の破損によって、知らないうちに床下に水が浸入するケースもあります。
2:床下の湿気が家に与える影響
床下の湿気は、以下のような問題を引き起こします。
・木材の腐朽や劣化
・カビや菌の繁殖
・害虫の発生
・不快なニオイの発生
これらの問題は、家の居住性を低下させるだけでなく、修繕にも多額の費用がかかります。

3:湿気を見分けるチェックポイント
自宅の床下環境を把握するには、次のようなサインを確認してみましょう。
- 畳やフローリングがふかふかしている、または反りが見える
- 押し入れやクローゼットの下段にカビ臭がある
- 床下点検口を開けると、湿った空気やカビ臭が立ち上がる
- 金属部分(配管・金具)にサビや結露が見られる
「におい」「床の浮き」「金属のサビ」など、わずかな変化を見逃さないことが重要です。
4:防湿シートを用いた床下の湿気対策
防湿シートを床下に敷設することで、湿気の侵入を防ぎ、上記の問題を未然に防ぐことができます。
具体的な使用方法は以下の通りです。
・床下全体に隙間なくシートを敷き詰める
・シートの端部は、基礎や束石に立ち上げて固定する
・シートの上に砂利や断熱材を敷いて、湿気の上昇を抑える
これらの手順を踏まえることで、防湿シートの効果を最大限に引き出すことができます。

5:実例から見る防湿シートの効果
防湿シートを導入した住宅では、湿気によるトラブルが大幅に減少したという報告があります。
ある住宅では、防湿シートを敷設したことで、床下の湿度が20%以上低下し、カビの発生が抑えられたそうです。
また、別の住宅では、シロアリの被害が防湿シートの使用によって防げたという事例もあります。

□季節・地域別の湿気対策ポイント
日本は四季があり、地域ごとに気候の差も大きいため、季節や立地に応じた床下湿気対策を行うことが大切です。
ここでは、防湿シートを中心にした対策を「季節別」「地域別」に整理します。
1:季節ごとのポイント
春〜梅雨
気温と湿度が一気に上昇し、床下の湿気が増える時期です。
この時期は防湿シート+床下換気の強化が効果的。
特に梅雨時期は空気が重く滞留しやすいため、換気扇を導入して強制的に空気を循環させることで、湿度を一定に保てます。
夏
外気が高温多湿になるため、床下と外気の温度差による結露に注意が必要です。
防湿シートに加えて、断熱材との併用が有効。
また、風通しを確保するために、床下換気口の周囲を荷物や植木鉢で塞がないようにしましょう。
秋
空気が乾燥し始めるため、防湿シート施工のベストシーズンです。
湿度が低いため、施工後の乾燥状態を安定させやすく、防湿効果を長期間維持できます。
床下点検やシロアリ確認も、この時期に行うのがおすすめです。
冬
外気温が低下することで床下の空気も冷え込みます。
結露によるカビの発生防止が重要となるため、断熱材の補強や換気経路の確保を行いましょう。
特に暖房を使う家庭では、室内外の温度差が大きくなりやすいため注意が必要です。
2:地域ごとのポイント
| 地域 | 特徴 | 対策のポイント |
|---|---|---|
| 太平洋側(関東・中部・四国など) | 夏の湿気が強く、梅雨が長い | 通気性の確保+防湿シートの重ね施工が効果的 |
| 日本海側(北陸・山陰など) | 冬の降雪と湿気が多く、結露が発生しやすい | 断熱+防湿シートを併用し、湿気の冷気化を防ぐ |
| 北海道・東北 | 冬の冷気が強く、床下結露のリスク大 | 断熱重視。気密性の高いシート施工が有効 |
| 九州・沖縄 | 高温多湿で一年を通して湿気が多い | 通年換気+調湿材の併用で湿度バランスを維持 |
3:施工時期の目安
防湿シートの施工は、湿度が低く乾燥している秋〜冬が理想です。
特に梅雨明け直後や秋口の晴天が続く時期は、床下の地面が乾燥しており、施工後の防湿効果が安定します。
□施工を専門業者に依頼する場合
防湿シートの施工はDIYでも行えますが、床下の高さや状態によっては専門業者に依頼する方が安全で確実です。
業者選びのポイント
- 施工実績のある業者を選ぶ
:床下工事に特化した業者であれば、湿気だけでなくシロアリ対策なども一緒に提案してくれます。 - 見積もりは複数社で比較する
:同じ施工内容でも価格に差が出やすいため、2〜3社の相見積もりが基本です。 - 調査費・点検費の有無を確認
:一部業者では無料点検をうたいつつ、後から別料金が発生する場合もあります。
費用相場の目安
| 施工内容 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 防湿シート敷設(20㎡程度) | 約5〜10万円 | 一般的な戸建て床下の範囲 |
| 床下換気扇の設置 | 約8〜15万円 | 機種・台数によって変動 |
| 床下調湿材の敷設 | 約3〜8万円 | 炭や鉱物系素材を使用 |
| 総合的な床下リフォーム | 約20〜40万円 | 断熱・調湿を含む一式施工 |
※上記は目安であり、地域・建物構造・施工環境によって変動します。
契約前に確認すべきポイント
- 契約内容に「使用するシートの厚み・素材・メーカー名」が明記されているか
- 施工後に写真報告書や保証書がもらえるか
- 施工後の点検スケジュール(半年〜1年単位)を確認しておく
業者に依頼する際は、価格だけでなく施工品質とアフター体制を重視しましょう。
信頼できる業者を選ぶことが、長期的に見て最もコストパフォーマンスの高い湿気対策になります。
□まとめ
床下の湿気対策は、住宅の長期的な健康状態を維持するために欠かせません。
本記事では、防湿シートの基本情報や選び方、使用方法について詳しく解説しました。
防湿シートを適切に使用することで、床下の湿気を効果的に防ぎ、家の構造を健全に保つことができます。
投稿者プロフィール

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